【基礎知識編】購入したてのタオルは水を吸いにくいのはなぜ?
吸水性の悪いタオルができるのは、主に「精錬工程」に問題があることが原因です
タオルの製造方法として、どのような製法を取る場合でも、製造の最終工程に「精錬工程」があり、その工程でタオルの表面についた油分や不純物を除去して吸水性の良いタオルに仕上げる工程があります。この最後の精錬過程がきっちり行われない場合には、水を吸いにくいタオルができてしまうことになります。
タオル織機は非常に高速で織っているため、それぞれの糸が擦れ合ったときに切れないように、織機にかける糸自体は予めサイジングという工程を経てデンプンや糊分などでコーティングをかけていくのですが、一般には、最終の「精錬工程」でこの糸につけた糊分を完全に除去することになっております。
ところが、コストダウンのためにこの工程の時間を故意に短くしたりするケースがあるのと、20年ほど前までは、糊の付いたままの状態では、タオル表面のパイルが立ってきれいに見えることもありわざと精錬工程を省略しようとするメーカーが一部にはいたこともあって、こうした消費者からの疑問が起こってきていたのだと思われます。
最近は製品検査基準が厳しくなり、「水を吸わないタオル」は減少してきています
現在日本の製造産地では、愛媛県今治地方では今治タオル工業組合が「今治タオル製品基準」を、また大阪府泉州地区では大阪タオル工業組合が「泉州タオル製品基準」を設けており、「今治タオル」、「泉州タオル」のブランドネームをタオルに使用するためには、検査を受けて一定の吸水性基準をクリアしなくてはならないため、各々ブランドがついているものに関しては、きちんと糊も抜いてあり、ふんわりした風合いに仕上がっているものとなっております。
また、海外生産においても、主な販売ルートである大型量販店などのチェーンストアなどでは、JIS基準や小売店独自の厳しい基準をクリアしていない商品を扱わなくなってきているため、各納品輸入業者は海外協力工場の生産指導を確実に行ってきており、最近は購入時点で吸水性が悪いとされるタオルはなくなってきていると思われます。
「精錬工程」を丁寧に行うことで 吸水性の良いタオルの製造が可能になります
逆に、この「精錬工程」において、通常よりも長時間精錬することで、さらにタオル表面の不純物を落とした柔らかいタオルを製造するケースもあり、「精錬工程」での糸抜けもありパイルはやや「痩せる」傾向ながら、ふわふわの非常に水を吸うタオルを製造することが可能になるため、吸水性の良い、付加価値の高いタオルとして販売しているものもあります。
NASTOは、製造工程、素材など様々な要素にこだわり、吸水性の非常に良いタオルを製品化しています
当社では、「糊抜き(最終精錬工程で糊を除去すること)」を徹底して行ったものや、糸の撚り回数などのあり方にこだわったものなどを研究して、吸水性の高い商品を発売しております。また、浅野撚糸の「スーパーZERO」や、DEPNEXTなど独特の甘撚り糸を使用したタオルは、市販の一般のタオルに比べ、非常に高い吸水性を誇る商品群となっております。
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また、速乾性の高い化学繊維であるポリエステルを、吸水性の良い綿糸で包んでいる混紡糸「マーメード」を使用したタオルなど、繊維の特徴を生かして吸水性を高めている商品も発売しております。