世界中にコロナ禍が蔓延した2020年は、業界全体の供給量は前年を2割近く下回る水準で着地しました。
2020年のタオルの生産状況は、製造全体の10%強程度を占める今治タオルは前年比28 %減、同10 %弱を占める大阪泉佐野の泉州タオルは同14%減となりました(各産地とも原料綿糸の受渡量からの推計)。また、全体の8割を占めている輸入タオルは同2割減程度の結果(財務省通関統計)となり、タオルの製造合計では同80%程度の仕上がりとなりました。
販売面では、ホテル向け、冠婚葬祭向け、各種イベント向けなどが非常に厳しい状況で推移しました。2020年東京オリンピック開催(21年に順延開催)に向かって東京では、大型、中堅、小規模等様々な宿泊施設の新設が進みましたが、オリンピックの順延によりホテルの開業が1年遅れたほか、数度の緊急事態宣言発令から、訪日海外観光客の激減、国内移動制限による旅行、ビジネス出張需要の消滅から、ホテル稼働率が大幅に下がり、タオル類のリピート注文も激減することになりました。
また、冠婚葬祭に関しても、大規模な集会が禁止されるなか、結婚披露宴の延期、大規模な葬式式典の中止などがあり、そこで利用されるタオル類の注文が激減したほか、特に葬式に関しては、家族葬中心の習慣に移行したために、コロナ禍が解決したとしても、葬祭需要が改善していかないのではないかと思われます。
コンサートやスポーツイベントなどの会場で使用、販売されるタオル類の注文も、集会人数の制限や、イベント自体の中止の煽りを受けて、例年を大きく下回る結果となっております。
この他、企業広告などを目的にした企業のプレミア商品、名入れタオルなどの需要は、緊急事態宣言発令などで経済活動が寸断される中、発注頻度が減少したり、規模が小規模になったりなど、この分野のタオル類の製造も大きく減少しました。

こうした不芳分野があった一方で、「巣ごもり需要」の拡大から、店頭小売の大半を占めるチェーンストア、ホームセンター、ドラッグストア、各種専門店チェーン向けの市場は概ね好調に推移したほか、テレビショッピング、通販市場も堅調に推移しました。一方で、店頭販売でも、百貨店や高級雑貨店などでは、緊急事態宣言の関係から百貨店やモールなどの店舗の営業停止や営業時間短縮などの影響を受け、販売は概ね低調に推移した模様です。

このように、2020年は、各分野、販売ルートによる爬行性が大きく、流通各社では企業による販売状況の違いが際立つ一年となりました。

2021年は全体としては持ち直し傾向ながら、生産面では20年比102%程度の水準となり、コロナ前に比べれば18%程度減少した水準で推移をしています。

2021年のタオルの生産状況は、大阪泉佐野の泉州タオルは前年の地合いを引き継いでやや前年を下回る状況で推移しているものの、オリンピック開催で高級ホテルの稼働率も回復し高級タオル需要が再度高まったことやコンサート等イベント向け需要が底を打ったことなどを受け、今治タオルは前年比4%増(11月までの11月間合計)。一方で、全体の8割を占めている輸入タオルは、年後半に向けて前年を上回る月が増え年度間では同2%増の結果(財務省通関統計 11月までの11月間)となり、タオルの製造合計では概ね同2%増程度の仕上がりとなりました。

大きな見方では、コロナ禍の後退から、イベントの再開もありタオルの需要は上昇傾向にあります。また不規則営業であった百貨店店頭の売上も回復しており、チェーンストア向け需要は店頭の堅調な地合いを受けて引き続き好調に推移しているため、業界全体として回復傾向にあることは間違いないと思われます。
2022年は年始以降、オミクロン株の蔓延が加速、1月から2月にかけては、多くの地域で「蔓延防止等重点措置」が発令されました。当面は、不要不急の外出も制限されるために、一時的にタオル需要は後退することが余儀なくされていますが、事態の改善とともに社会が正常な経済状況に戻ることが期待されております。
2022年は、全体としては21年度を上回る中、徐々に市場を取り戻しながら、後半にかけてコロナ前の水準に戻るべく上振れていくことが期待できると考えております。

タオルの商品企画、マーケティング企画は
私たちナストーコーポレーションにご相談ください

記事ランキング